Howard Schneider Ann Saphir

[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は10日、議会に半期ごとに提出する金融政策報告書を公表した。関税の影響の変化や中東紛争に伴うエネルギー価格の上昇、人工知能(AI)関連投資の大幅な拡大などが、昨年から高まっていた物価上昇圧力を一段と押し上げ、米国のインフレ率は「今年の春にさらに加速した」と指摘した。

報告書は「インフレは今年に入って上昇し、連邦公開市場委員会(FOMC)の長期目標である2%を上回る水準で高止まりしている」と指摘。FRBが重視する個人消費支出(PCE)価格指数の5月のデータでは、目標の約2倍の水準となっていると述べた。

一方、「労働市場は安定し、需要と供給は概ね均衡している」とし、6月の失業率4.2%は依然「低水準」だとした。同時に、その状態を維持する要因となっている人口動態の変化についても言及した。求人件数は「横ばい」で推移し、一時解雇(レイオフ)も同様に「抑制されている」とした一方、就労可能で経済活動に貢献できる労働力人口そのものは停滞していると指摘。「移民流入の著しい鈍化と、人口の高齢化に伴う労働参加率の継続的な低下が、労働供給の伸びの鈍化につながった」と述べた。

しかし、全体としては「歴史的に低調な労働力人口の伸びが、労働生産性の力強い伸びによって相殺された」ことから、経済の潜在成長率は「堅調なペースで上昇している」と結論付けた。

また、中東紛争により不確実性が高まる中でも、経済活動は堅調なペースで拡大していると指摘。金融システムは引き続き「健全かつ強じん」であり、脆弱性に変化はないと述べた。

<マネーサプライに言及>

報告書はまた、ウォーシュ氏がかねて強調してきた他のテーマにも触れ、2016年以降で初めてマネーサプライの規模に言及した。ここ数十年、マネーサプライの伸びはインフレの要因として軽視されてきたが、新型コロナウイルス禍で政府が家計に大規模な給付を行い、世界的な供給制約下で需要を押し上げた経験を機に見直しの機運が高まっている。ウォーシュ氏は4月の上院承認公聴会で、インフレは「政府が紙幣を過剰に発行し、過剰に支出した場合に生じる」との見解を示していた。

マネーサプライ(M2)に関する項目では、M2の年間の伸び率が「2010年代に一般的に見られた」水準に戻ったと指摘。「コロナ禍で大幅に増加した実質貨幣残高はほぼ解消された」と述べた。

今回の報告書は、ウォ​ーシュ新議長の下で初めて提出されたもの。ウォーシュ氏は来週14日─15日に下院と上院の委員会の公聴会に出席する。

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