Adrian Portugal Karen Lema
[マジンロック(フィリピン) 10日 ロイター] - 南シナ海の大半を自国領とする中国の主張を、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が退けてから12日で10年となる。仲裁裁判所に申し立てたフィリピンのラザロ外相は10日、仲裁裁判所の判断は、ルールに基づく国際秩序の「揺るぎない恒久的な拠り所」であると述べた。しかし中国は、仲裁裁判所の判断を拒絶し、この10年間に実効支配を進め、時に実力行使にも出ている。
フィリピンと中国が領有権を巡り対立するスカボロー礁。周辺は豊かな漁場だが、フィリピンの漁師は中国船の嫌がらせを恐れ近づけない。
フィリピンが領有権主張の一環で座礁軍艦を管理しているアユンギン礁(セカンド・トーマス礁)では、同国軍と中国海警局の衝突が頻繁に起きている。外交関係者やアナリストは、南シナ海での対立がより広範な武力衝突に発展することを懸念する。
ただこうした中国の威圧を伴う海洋進出は、領有権問題を抱えるフィリピンをはじめとする周辺諸国だけでなく、米国とその同盟国にも危機意識を芽生えさせてきたことも確かだ。
フィリピン当局者らは、仲裁裁判所の判断が同国の法的立場を強化し、海上での対立を公開する「透明性イニシアチブ」の基盤になっていると主張する。さらに、同盟国との防衛協力深化にも寄与した。今や米国だけでなく、日本やオーストラリアなどと軍事演習や関連協定の協議・締結が進む。
フィリピン大学海洋問題・海洋法研究所のジェイ・バトンバカル所長は、その点において中国の行動は逆効果だったと指摘する。
「中国の行動がなければ、フィリピンの同盟国や安全保障上のパートナーの数が増えることは間違いなくなかっただろう」と語った。