月面経済を支えるのは水かもしれないが、月面生活と労働がもたらす最も変革的かつ長期的な恩恵はエネルギー生産だとソワーズは指摘する。
「目に見える最大のメリットは宇宙太陽光発電だ。それが実現すれば、地球上の全人類に、尽きることのない豊富なエネルギーを恒久的に供給できる」
月資源の最も有望な用途の一つは、月で採掘した資材を使って宇宙空間に巨大な構造物を建設することだという。地球上の太陽光パネルよりもはるかに高い効率でエネルギーを生成できる、大型の太陽光発電衛星もこれに含まれる。
従来の太陽光発電には、太陽が出ている時にしか発電できない、冬季には効率が下がるといった限界がある。しかし、太陽光集光装置を宇宙空間に移設すれば、そうした課題の多くは解決できる。
宇宙太陽光発電衛星を使用すれば、太陽光を遮る大気がないことから、エネルギー収集の効率は高まる。継続性に欠け、バックアップシステムを必要とする地上の太陽光発電と違って、軌道上での太陽光発電であれば絶え間なくエネルギーを供給できる可能性がある。
「宇宙空間に太陽光発電衛星があれば、クリーンそのもので尽きることもなく、年中無休で利用できるエネルギーを供給できる可能性がある」とソワーズは言う。しかも、月の資材でそうした衛星を建設すれば、地球上で製造して軌道へ打ち上げる場合に比べてコストを大幅に抑えることが可能になる。
月の資源を利用した太陽光発電衛星の建設は、今後50年以内に実現できるとソワーズは考えている。「そうなれば地球のエネルギー事情は一変し、化石燃料は実質的に時代遅れになるだろう」