まるでSF映画のような月面居住の実現に向けた計画を、アメリカ航空宇宙局(NASA)が発表した。月で暮らして働く人にはどんな日常が待っているのか。

NASAが5月に発表した「月面基地(Moon Base)」計画では、月の南極付近に基地を建設して段階的に人類を居住させ、2032年までに「継続的な人類の居住」の実現を目指す。プロジェクトが完了する第3段階では「月に居住して働くことが現実になる」とNASAは説明している。

こうした未来構想では輝かしい都市計画ばかりが注目されがちだが、実際には月での日常生活ははるかに現実的で、困難が多いはずだと専門家は指摘する。

「月面の人類にとって最大の課題は、月に大気がないことだ。磁場もないので宇宙放射線に直接さらされる」

本誌にそう語ったのは、NASA諮問委員会の有人探査・運用(HEO)委員を務めたコロラド鉱山大学のジョージ・ソワーズ教授。

過酷な気温も障害になる。NASAによると、南極付近の気温は日が当たる場所で54度を超える一方、日が当たることのないクレーターではおよそ氷点下200度まで下がる。

そうした環境の中、ほとんどの人は月の土壌の層に守られて屋内で暮らすことになるだろうとソワーズは予想する。

「自分を守ってくれる厚い土壌の下での屋内暮らしが中心になるだろう。外へ出ることは厳格に制限され、管理される」

ソワーズによると、宇宙飛行士は生涯の被爆線量を制限値以下に抑えるため、キャリアを通じて放射線被爆管理を行わなければならない。このため屋外活動の多くは「ロボット技術を多用」することが予想される。

ただ、放射線を十分遮ることのできる居住施設が建設できれば、屋外での被爆を慎重に管理するという条件付きで、月に無期限で滞在できる可能性もあるという。

将来的には観光さえ可能になるかもしれない。短期滞在であれば、長期滞在する場合のような放射線の懸念は生じない。

化石燃料は時代遅れに
【関連記事】