「見えない制約」をどう見つけるか

── 知的労働の工程は可視化が難しいと感じています。ワークフローの全体像を的確に掴めていないチームが、ボトルネックを特定し、全体最適を目指すためには、どんな一歩を踏み出すべきでしょうか。

「知的労働は全体像が描きにくい」と感じる背景には、実は「全体像は複雑なはずだ」という思い込みがあるんじゃないでしょうか。全体像を描く簡単な方法は、最終成果から逆算して工程を書き出すことです。

たとえばメディアを運営している企業なら、「読者が喜ぶ記事が公開されている状態」というゴールを起点に、「その前にやることは何か?」と考えてバックキャストで辿っていく。すると30分もかからず、仕事の流れが可視化されていきます。

次に、「どこに一番時間がかかっているか」を確認してください。すると、3か月かかるプロジェクトでも、それぞれのタスクの実際のタッチタイム(作業時間)は長くても1、2時間、残りは正味時間数分もかからない決裁待ちだった、というケースがよくあります。

これが制約とわかれば、「この決裁を早く済ませる方法はないか?」というボトルネックに集中した議論ができ、プロジェクト期間は劇的に短くなります。

心に留めたい点は、「早く始めれば早く終わる」という通説は大きな誤解だということです。あれもこれも同時に着手すると、リードタイムが長くなり、途中で優先度の変更が起きるたびに現場が混乱してしまう。一つずつ終わらせることが、仕事の滞留を解消し、結果的に早く完了することができるのです。

『なぜあなたはマネジメントを間違えるのか?』著者の岸良裕司さん
『なぜあなたはマネジメントを間違えるのか?』著者の岸良裕司さん(本人提供)

全体最適を組織に根づかせるには?

── 制約を見つけて改善するプロセスは継続的な営みだと学びました。自律的で持続可能なカイゼンを組織に根づかせるために、組織は何を変えるとよいでしょうか。

「どのような尺度で私を評価するか教えてくれれば、どのように私が行動するのか教えてあげましょう。もし不合理な尺度で私を評価するなら、私が不合理な行動をとったとしても、文句を言わないでください。」

総務、人事、経理などを「コストセンター」と呼ばない
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