ゴールドラット博士の言葉です。ここからも明らかなように、まずはKPIを見直すことです。たとえば「稼働率を上げる」というKPIは、部分最適の典型です。コストが下がると思い込んで、売れない商品をつくり続け、過剰在庫に陥りコストダウンを大幅に上回るディスカウントをし大損してしまう。最悪の場合、資金繰りを圧迫し、経営危機に陥ることさえあります。
また、部門最適のKPIがあると、組織の壁が生まれ、悪しき風土が生まれることになります。だから、それを全体最適のKPIに変える必要があります。そのためには、この本で紹介している全体最適の意思決定のための「スループット会計」が活用できます。
読者の皆さんにすすめたいのは、総務、人事、経理などを「コストセンター」と呼ぶのをやめることです。我々は「HMO(Holistic Management Office)」(全体最適のマネジメント室)と呼んでいて、彼らこそが「ボトルネックを支援し、組織に利益をもたらすプロフィットセンター」だと位置づけています。
私たちの会社では、HMOが先回りして「今ここがボトルネックになりそうなので、他のメンバーに任せませんか?」とマネジメントしてくれる。だから希少なリソースが最大限に活かされるのです。
さらに問題なのは評価制度です。次の3つの問いを考えてみてください。
・過去は変えられますか?
・未来は変えられますか?
・みなさんの希少な時間をどちらに使えばいいのでしょうか?
こう考えれば、変えられる未来に集中した方が良いに決まってます。
私たちゴールドラット・ジャパンでは、変えられない過去を云々する「成果主義」ではなく、変えられる未来に集中する「成長主義」を掲げています。面談では「何ができていないか」ではなく、「この1か月で何ができるようになったか」を問いかけるのです。他者ではなく過去の自分と比較し、伸びている部分を自ら言葉にすることで、自分の成長に気づき、人は劇的に成長します。そのプロセスの詳細については、本書のChapter 9「評価にまつわる間違い」で紹介していますので参考にしてください。