<「補助金ビジネス」まがいの案件がまかり通るなど、問題はクールジャパン政策全体を貫く中身の薄さにある>
クールジャパンという言葉には安直な明るさがあった。日本のマンガ、アニメ、食、ファッション、伝統工芸、観光。そうしたものを海外へ売り出せば日本経済にも文化外交にもプラスになる。発想自体は間違っていなかっただろうが、多くの人が言い知れぬ懸念を最初から感じていた。
そして最近、海外需要開拓支援機構、いわゆるクールジャパン機構の行き詰まりが改めて露呈し、投資先のチョイスへの疑問なども含めて世間では批判や落胆が広がった。
クールジャパン機構は2013年11月に官民ファンドとして設立された戦略組織だが、2025年度決算では累積損益が540億円の赤字となり、経済産業省が統廃合を検討すると報じられている。
ただし「クールジャパン」の看板だけたたくのは単純すぎるだろう。日本コンテンツの海外輸出をめぐる問題は、この言葉が公的に拡散されるようになった10年以降に突然始まったものではないからだ。それ以前から海外展開の名を借りた、中身の薄い「コネ企業系」補助金ビジネスめいたものはあった。
つまり「クールジャパン」の定義や政策は、既存の問題を大きくし、立派な看板を付け、より多くの予算と関係者を呼び込んだ「悪」とも呼べるのではないか。
私が直接知っているケースもある。日本の超有名作家の超有名作品のドイツ語版を、ドイツの無名出版社に出版させた。しかし、販促はほとんど行われず、結果として本は売れずに倉庫に積まれたままとなった。売れることではなく「外国の出版社に出版させた」という実績がゴールになっていたらしい。
そこまで行けば関係者に補助金が下りる。あとは野となれ山となれ、であり、実際に倉庫で山となってしまった。こういった欺瞞的案件が「海外展開」という美しい言葉で正当化され続けたのがマズすぎる。