価格が変動するシステムに非難轟々
開幕前のW杯関連報道を支配した話題を1つ挙げるなら、チケット価格の高騰だ。FIFAは今回初めて、チケット販売を地元組織に委託せず、自ら直接管理した。さらに需要に応じて価格が変動する「ダイナミック・プライシング」と、手数料を取る公式リセールプラットホームを導入。アメリカのエンタメ業界では一般的だが、世界のサッカーファンにはなじみのないシステムだ。
FIFAがこれらの仕組みを明らかにすると、今大会が従来とは根本的に別ものであることが分かってきた。反発はすぐに起きた。声を上げたのは、このスポーツの本質を形作ってきた人々──ファンだった。
FIFAはこの方式を擁護し、価格を60ドルに固定した「サポーター・エントリー・ティア」というチケット枠を用意していると説明した。その数は各出場国に割り当てられるチケットの10%ほどで、限られた数のファンに低価格で提供するものだ。
だが、それも全体的な価格高騰という問題の解決策にはならなかった。
「多くの人が大会から締め出されている」と、FIFAの準備状況を監視してきた欧州のサポーター団体、フットボール・サポーターズ・ヨーロッパ(FSE)のロナン・エバイン代表は言う。カタール大会では、開幕戦の最も安い席が55ドル。今大会では同等カテゴリーの席が、約10倍の560ドルだった。
次のページ