Howard Schneider
[ワシントン/ニューヨーク 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は16─17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3.50─3.75%に据え置くと決定した。据え置きは4会合連続で、決定は全会一致だった。四半期ごとに公表される金利・経済見通しでは年内の利上げが予想され、FRBはウォーシュ新議長の下で利上げを視野に入れた方針に転換した可能性がある。
金利・経済見通しでは、政策担当者の半数近くが政策金利を現行水準に据え置くだけでは物価上昇率を2%の目標まで押し下げるのに不十分との見方に転じ、9人が2026年末までに利上げが必要になると予想。昨年12月以来3.50─3.75%に据え置かれている政策金利は、年末までに0.25%ポイント引き上げられるとの見通しが示された。
FRBが3月に公表した前回の金利・経済見通しでは、年内に1回の利下げが行われるとの見通しが示されていた。
今回は5月に就任したウォーシュFRB議長の下での初めてのFOMC。FOMC声明から将来の金利動向を巡るフォワードガイダンスが全面的に削除されたほか、声明の形式も見直され、ウォーシュ新議長の影響力が早くも表れ始めていることが示された。
<声明からフォワードガイダンス削除>
ウォーシュFRB議長はFOMC後の記者会見で、声明からフォワードガイダンスを削除した理由について「現在の経済状況には適していない」と説明。今後の金融政策運営について「次に何を行うか前もって示すことはできない」と述べ、「幸いなことに、われわれは6週間後に再び会合を開く」と語った。
今回のFOMCに参加した19人の当局者の中に近い将来の利上げを望んでいる者はいないとし、「6週間後に再び会合を開く。そのときに改めて議論する」と語った。
経済情勢については、FRB当局者の大半は労働市場が安定しているとみており、一部では改善に向かっているとの見方も出ていると指摘。「雇用統計は良い方向へ向かっていると言える」と述べた。また、「ある時点のデータや単一の経済指標より、3カ月や6カ月といった期間で起きていることの方が重要だ」とし、ある特定の時点のデータよりも経済トレンドを重視する姿勢を示した。
このほか、FRBの業務運営について見直しを行うため、5つの作業部会(タスクフォース)を設置すると明らかにした。対象分野は、FRBのバランスシート、対外コミュニケーション、データソース、生産性と雇用、インフレ目標の枠組みなど重要な政策分野に及ぶ。
ウォーシュ氏はトランプ大統領が利下げ実施への期待を込めてFRB議長に指名。ウォーシュ氏は就任以降にトランプ氏と会話したかについては明言を避け、「大統領について申し上げることはない」と述べるにとどめた。一方ベセント財務長官とは会談しているとし、「FRB議長と財務長官が毎週会合を開くのは長年の慣行、就任以来3回開催した」と語った。
<声明簡素化>
簡素化されたFOMC声明は、グリーンスパン元FRB議長時代に用いられていた形式に近いもの。
FRBは声明で「金融システムにおける十分な準備預金を維持する方針を再確認した」と表明。「中東の紛争を一因とする不確実性の高まりにもかかわらず、経済活動は堅調なペースで拡大している」とし、「生産性の伸びと設備投資は力強い。雇用の伸びは労働人口の増加に追い付いており、失業率はあまり変化していない」とした。
「エネルギーを含む特定分野の価格上昇を引き起こした供給ショックを部分的に反映し、インフレ率は委員会が目標とする2%に比べて依然、高い水準にある」とし、「委員会は物価の安定を実現する」とした。
<政策金利見通し、「ドット」1つ欠落>
今回の政策金利見通し(ドットチャート)では、19人の政策当局者のうち18人しか予測を提出しなかった。欠落した「ドット」が誰のものかは明らかにされていないが、四半期ごとの経済見通し(SEP)に批判的な立場を示してきたウォーシュ議長が提出を見送った可能性が高いとみられている。
金利・経済見通しでは、9人が年内の利上げが必要になると予想。8人が金利据え置きが妥当との考えを示し、0.25%ポイントの利下げが適切としたのは1人だった。