米株式市場は好調でも、各地のスーパーでは、買い物客が物価高を実感している。
なかでも値上がりしているのが、夏野菜の定番トマトだ。米消費者物価指数(CPI)によれば、トマト価格はこの1年間で40%上昇。出費がかさむ夏が迫るなか、恒例のバーベキューも、ピザもイタリア料理店での外食も市民にとって贅沢品になりかねない。
専門家に言わせれば、原因は政策と異常気象がもたらしたパーフェクトストームだ。
トランプ米大統領による関税措置とイラン戦争のダブルパンチで、世界各地で貿易関係が混乱に陥り、ガソリン価格は急上昇している。さらに、アメリカが昨年、主要な供給国であるメキシコの対米トマト輸出に関する合意を破棄したことも災いしている。
折しも、今年第2四半期の米CEO信頼感指数は47に低下した。50を下回るスコアは、主要企業トップが今後半年間の経済動向について悲観的な見方をしていることを示す。
米商務省は5月下旬、第1四半期の実質GDP成長率改定値を、速報値の前期比年率2%増から下方修正し、同1.6%増と発表。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の報告によれば、低所得層消費者は裁量的支出である「非不可欠品」への出費削減に動いている。
今やカプレーゼサラダが贅沢品なら、景気後退の兆候としては最悪かもしれない。約2年前の前回米大統領選の際、共和党候補のトランプは食料品価格やインフレ率を争点に掲げていた。大統領選で勝利し、民主党の政権維持を阻止できたのは、当時の卵価格高騰のおかげともいえる。
ガソリン価格の高騰と、高級ブランド店での買い物並みに高くつく食費を受けて、最近のトランプの支持率は30%台に低迷。FRBが年内に利下げに踏み切るとの見方も後退しているようだ。米中間選挙予備選が国内各地で進行している今、トマトの影響力を侮ってはならない。