Phil Stewart Eman Abouhassira Saad Sayeed
[ドバイ/ワシントン 14日 ロイター] - イスラエルは14日、親イラン民兵組織ヒズボラを標的としてレバノン首都ベイルート南部を空爆した。イランは「強力な対応」を警告。トランプ米大統領も、攻撃を批判した。14日にもとの観測が出ていた覚書の署名が不透明になっている。
イスラエル軍は14日、ヒズボラがイスラエル北部の地域に向けて3発の飛翔体を撃ち込んだと発表。その後、ベイルートのダヒエ地区にあるヒズボラの標的とされる場所を攻撃した。レバノンの民間防衛隊によると3人が死亡した。
イランの交渉担当者、ガリバフ国会議長は、イスラエルの攻撃について、米国が約束を果たす意志や能力を欠いていることを示していると指摘。軍最高司令部は「敵の心臓部」を撃つため「引き金に指がかかっている」状態だと表明した。イラン外務省は、イスラエルによるレバノン攻撃の責任は米国にあるとした。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)への投稿で「今朝のベイルート攻撃は起きるべきではなかった。イランとの和平合意に非常に近づいている特別な日にはなおさらだ」と指摘。その上で「われわれはレバノンを含む地域に平和をもたらす合意に非常に近づいており、全ての当事者は手を引くべきだ」とした。
トランプ氏は13日、自身の80歳の誕生日である14日に覚書に署名する予定だと投稿。パキスタンのシャリフ首相は同日、24時間以内の締結に向けてパキスタン政府が電子署名の準備を進めており、来週には技術レベルの協議が続くと述べた。ただイランは日程に言質を与えず、外務省のバガイ報道官は、トランプ氏の投稿に先立ち「明日(14日)はない」が「数日中に」実現する可能性があると語っていた。
<イスラエル、合意の当事者でないと主張>
イスラエルは、覚書の当事者ではないと主張し、レバノンでの作戦の自由を維持するとしている。14日の攻撃は、覚書の最終決定に向けた取り組みで、カタールの交渉担当者がテヘランへ向かったとされるタイミングで起きた。
米FOXニュースは、協議に関与する匿名の外交官の話として、イスラエルの攻撃は覚書を最終決定する取り組みを複雑にしており、そうした取り組みを妨害する試みだと報じた。
トランプ氏は14日の投稿で「イスラエルによるレバノン全土での攻撃はこれ以上あるべきではなく、ヒズボラを含む他のいかなる当事者によるイスラエルへの攻撃もこれ以上あるべきではない」とした。
<覚書締結に不透明感>
イランのファルス通信は14日、情報筋の話として、イラン政府は覚書についてまだ最終決定を下しておらず、専門家および意思決定レベルで政治、法律、技術的な側面の検討が続いていると報じた。
イラン高官は14日、覚書の最終草案の内容を説明した。それによると、イランがホルムズ海峡を即開放し、米国はイラン港湾封鎖の解除に着手する。イラン資産250億ドルの凍結解除、イラン産原油に関する制裁を一定期間免除することなどが盛り込まれている。イランは核兵器を製造も取得もしないことに同意し、最終合意までの間、ウラン濃縮活動など、核開発計画の現状を維持する。イランの濃縮ウランの希釈は同国内で行うことを認めるという。
米当局者は、最終的にはイランの核開発計画は解体され、高濃縮ウランの備蓄は破壊・撤去されることになると述べた。
ヘグセス国防長官は米CBSニュースの番組で、覚書を締結すれば、イラン港湾に対する海上封鎖の解除を「直ちに開始」するとしたが、その時期はホルムズ海峡の再開次第だと述べた。海峡の安全な航行確保に向け、掃海する能力があると述べた。
その上でヘグセス氏は、イランの核開発計画に関する交渉中も「軍事的選択肢」を保持するため、中東地域に十分な軍事力を維持する計画だと語った。
イランでは13日夜、政府支持の集会が各地で開かれ、枠組み合意に反対する強硬派が不満の声を上げた。北東部の都市マシュハドでは、アラグチ外相に対する批判とみられる「妥協者に死を」「妥協者は辞任しろ、辞任しろ」との抗議の声が聞かれた。