拍子抜けというより、呆れてしまう。末期癌なのに介護ベッドも拒否する。サービス付き高齢者住宅への入所も「おいおい時期が来たら考えるわ」と言って、結局バタバタしてしまう。医師に勧められた標準治療も途中でやめて、代替療法にハマって、高い乳酸菌のサプリメントに心酔し、自己流で治そうとする、安定の困ったちゃんでした。
もう好きにしたらいいと心から思って、「へえ、そんなに効くんや、その乳酸菌。お母さん、お肌つるつるやもんね」なんて言ってあげたら、とても喜んでいました。終末期だから深くかかわれるわけでもないし、暗くなるのもよくないなという気持ちでしたが、それはよかったのかなと思います。
※続く後編では、「親を捨ててもいい」と語る岡山さんの真意や、介護の目的である「愛が憎しみに変わらないようにすること」について、さらに深く迫ります。(明日公開予定)
岡山容子(おかやま・ようこ)
医師/僧侶 おかやま在宅クリニック院長。1971年、大阪府生まれ。四人姉妹の次女として育つ。1996年、京都府立医科大学卒業後、麻酔科医として京都府立医科大学病院や西陣病院にて勤務、その後在宅医療分野へ転向。2015年、京都市内におかやま在宅クリニックを開設し、訪問診療、緩和医療、認知症治療などに携わる。2020年、浄土真宗本願寺派にて得度を受け僧侶となる。終末期をみる医師として、地域密着医療を実践するほか、看取りの勉強会を主宰する。
尾崎英子(おざき・えいこ)
作家。1978年、大阪府生まれ。2013年『小さいおじさん』(文藝春秋、のちにKADOKAWAより『私たちの願いは、いつも。』として文庫化)で、第15回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。著書に『ホテルメドゥーサ』(KADOKAWA)、『有村家のその日まで』『竜になれ、馬になれ』『たこせんと蜻蛉玉』(以上、光文社)他。近年は10代から楽しめる作品にも執筆の幅を広げ『きみの鐘が鳴る』『学校に行かない僕の学校』(ポプラ社)他。2024年、『きみの鐘が鳴る』で、うつのみやこども賞受賞。
平和と繁栄を謳歌した戦後も「敗戦」だった――7つの国家危機から読み解く衰退の原因

