<54歳の兄が突然死した。分かり合うことができず距離を置いていた兄だったが、後始末をするために訪れたアパートで妹が見た光景とは?>

実際にその日がやってきたとき、こじれた肉親との関係をどのように終えばよいのか。エッセイストで翻訳家の村井理子氏は、長年、不仲だった兄を亡くした。突然の病死だった。兄を弔い、身辺を片付け、感情を整理していく。その過程を綴ったベストセラー『兄の終い』(CEメディアハウス)より、紹介。(前編はこちら

※本書が原作の映画『兄を持ち運べるサイズに』(出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり 他/脚本・監督:中野量太[『浅田家!』])は、11月28日(金)全国公開。

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亡くなった兄が倒れていたアパートで

蛍光灯がギラギラと眩しいリビングで、兄の遺したものを一つひとつ見ながら、兄もさぞかし無念だったろうと考えていた。

どこから見てもダメな人だったけれど、こんなに突然死ぬほど悪いことでもしただろうか? だってまだ五十四でしょ? こんな人生の最期、なんだかひどくない? 突然倒れていきなり死んで、いろいろな人に部屋のなかに入られて、もっとも秘密を知られたくなかった辛辣(しんらつ)な妹に、こうやって汚い部屋を見られちゃうなんてさ。

空箱の下から茶封筒に入った紙の束
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