Enas Alashray Elwely Elwelly Phil Stewart
[ドバイ/ワシントン 10日 ロイター] - 米イランの軍事的応酬が一段と激化し、中東を巡る緊張は停戦合意以降で最も高まっている。トランプ米大統領は10日、イランは交渉合意に時間をかけすぎたとし、今や「代償を払わなければならない」と述べた。
一方イランは、報復攻撃の応酬後、米国との外交見直しに言及した。また、ホルムズ海峡周辺の標的に対する米国の攻撃への報復として、精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」がヨルダンやクウェートの米軍基地を攻撃した。
米軍ヘリコプターがイランに撃墜されたことをトランプ氏が明らかにした後に発生したこの攻撃は、米・イランが4月に停戦に合意して以来、最も重大な事態の悪化の一つとなった。
トランプ氏はSNSへの投稿で「イランは口先ばかりで行動が伴わない」と表明。「イランは自国にとり素晴らしい合意となったはずの交渉に時間をかけすぎた。今や代償を払わなければならなくなる」と記した。
米軍は、ヘリコプター撃墜に対する「相応の対応」として、ホルムズ海峡付近にあるイランの防空システム、地上管制施設、監視レーダー施設を標的にしたと表明した。ヘリコプターの乗員2人は救助された。
近隣の湾岸諸国とヨルダンは、飛来するミサイル迎撃に備え防空システムを作動させたが、米軍基地への被害に関する即時の報告はなかった。
停戦後初めてイランとイスラエルが攻撃を応酬してから数日後に起きた今回の事態の悪化は、戦争終結に向けた合意の見通しに新たな疑問を投げかけている。
イラン外務省のバガイ報道官は、度重なる停戦違反を受け、米国との外交関係を見直すと述べた。「いかなる外交プロセスも、最低限の安定した環境を必要とする」と語った。
フォックスニュースは、トランプ氏がインタビューで、合意に時間がかかりすぎているため、イランの発電所や橋梁への新たな攻撃を命じる可能性があると述べたと報じた。
しかし、外交努力が続いている兆候も見られた。イラン国営メディアの報道によると、米国とイランの仲介役を務めてきたカタールの代表団が10日にテヘランに到着し、戦争終結に向けた外交交渉について協議を行った。
<ホルムズ周辺での攻撃>
米軍による夜間の空爆は約4時間にわたった。中央軍によると、攻撃は米東部時間9日午後5時(2100GMT、日本時間10日午前6時)に始まり、午後9時直前に終了した。イランの標的約20カ所が攻撃された。
IRGCはホルムズ海峡のケシム島と港湾都市シリクが攻撃を受けたと発表した。イランのメディアはまた、港湾都市バンダルアッバス、ホルムズ海峡の入り口付近に位置するジャスクでも爆発があったと報じた。
これとは別に、オマーン沖でタンカーが10日、米軍の攻撃とみられるミサイル攻撃を受け、乗組員2人が行方不明、1人が負傷した。英国の海上警備会社アンブレイは、「今回の攻撃は米国によるイラン港湾封鎖作戦の一環である可能性が高い」としている。米中央軍はコメントの要請にすぐには応じなかった。
IRGCは、米国によるイランへの攻撃に対し、ドローンとミサイルを用いてバーレーン、クウェート、ヨルダンにある米軍基地を攻撃することで報復したと発表した。
米当局者は、初期段階の評価として、イランが発射したミサイルとドローンはほぼ全て迎撃したと説明し、米軍関係者への被害や米軍施設への損害の報告は現時点で確認されていないと語った。
ヨルダン軍は、アル・アズラクに向けて発射されたミサイル5発を迎撃し、落下した破片による負傷者や物的損害はなかったと発表した。
クウェート国防省は「敵対的な空中目標」を迎撃したと発表した。バーレーンは、防空システムがイランの攻撃を撃退したと、国王のメディア顧問がXに投稿した。クウェートには主要な空軍基地を含む米軍施設があり、バーレーンには米海軍の地域艦隊司令部が置かれている。
<遠のく和平合意>
4月初旬の停戦合意は、和平交渉の計画と同時に発表された。以来、外交関係者らはホルムズ海峡の再開、米国によるイラン港湾封鎖の解除、そしてイランの核開発計画に関する交渉の道筋づくりを目指してきた。
トランプ氏は合意が近いと繰り返し述べているが、パキスタンとカタールの仲介による数回の間接協議にもかかわらず、両者の隔たりは依然として大きいようだ。
イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラとの間で並行して行われている戦争は続いており、イランは海峡の船舶航行に対する制限を維持している。