「戦略的思考能力の欠如」が顕著
米シンクタンク、クインシー研究所の上級研究員でダートマス大学客員教授を務めるスティーブン・サイモンは本誌に対し、「ニューヨーク・タイムズが報じた対イラン攻撃直前のトランプとネタニヤフ2人の首脳会談を見る限り、体制転換こそが主要な目標だったことは明らかだ」と語った。
米軍制服組トップの統合参謀本部議長は当時、米国の戦争目的を「イランが将来にわたって米国に軍事的挑戦を行えない状態にすることだ」と説明した。
「これは最大限の戦争目標だ。体制転換もイランの軍事的脅威排除も、どちらも達成されていないし、米国がイランを侵攻・占領するか、核兵器を使用しない限り達成されないだろう。どちらも現実的ではない」と、サイモンは言う。
またサイモンは、トランプ氏の中心目標である「イランに核兵器の取得を恒久的に断念」させることについても、「米情報機関によれば、そもそもイランは核兵器を製造していなかったため評価が難しい」と述べた。
たとえ昨年6月の「12日間戦争」で核施設が壊滅的な被害を受けていたとしても、濃縮ウランそのものは地下に残っている可能性がある。「戦争でも核問題は解決していない。だから『核兵器阻止』を理由に今回の戦争を正当化するのは難しい」とサイモンは言う。
サイモンは、トランプとジョージ・W・ブッシュ元大統領を比較した。ブッシュによるアフガニスタン戦争とイラク戦争の対応は後に大きな論争を呼んだ。
「外国政府の立場であれば、ブッシュ第2次政権とトランプ第2次政権の極めて特異な性格を考慮に入れるのが賢明だろう。両政権は戦略的思考能力の欠如という点できわめて例外的であり、またブッシュ第1期とトランプ第2期において議会を比類なく支配していた点も共通する」