Lucia Mutikani

[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省労働統計局が5日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万2000人増加し、市場予想を大きく上回った。3カ月連続で力強い雇用増となり、労働市場が堅調に勢いを取り戻しつつあることが確認された。

これにより、米連邦準備理事会(FRB)は、イランとの戦争に起因するインフレ加速の中で金利を据え置く余地が広がった。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は8万5000人増、予想レンジは5万人増─12万5000人増だった。4月は当初発表の11万5000人増から17万9000人増に上方修正された。

3月分も18万5000人増から21万4000人増に上方修正され、3、4月の合計で9万3000人分が上振れした。

失業率は4.3%で、3カ月連続で同じ水準となった。

FHNフィナンシャルのシニアエコノミスト、ソフィア・カーニーレダーマン氏は「今回の統計は、労働市場が安定した状態にあることをFRBに確認させるものとなり、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてインフレがFRB政策の唯一の焦点かつ要因となるだろう」と述べた。

ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスチャンチッチ氏は「FRBが年内に利下げするとみる説得力ある理由はない」とする一方、現時点で利上げを予想するのは時期尚早だとも指摘。「FRBが利上げを検討するには、エネルギー価格の上昇が直接的な影響を超えて他の財・サービス価格を押し上げ、これまで抑制されてきた債券市場のインフレ期待を揺るがす必要がある」と述べた。

一方、トランプ大統領は、好調な雇用統計を受けて、株価は上昇するはずだと述べた。

ただ、雇用者数の改善は低水準のレイオフ(一時解雇)が主因で、企業は不確実性への対応から採用拡大に慎重となっている。

エコノミストは、税還付や輸入関税の還付という形での財政刺激策が、原油価格の急騰を通じてインフレを刺激してきた中東紛争の影響を和らげていると指摘する。企業収益は2025年第2・四半期以降増加しており、大規模な人員削減を控えることが可能になっているが、米国とイスラエルによるイランとの戦争が長引けば、労働市場のリスクは残るとエコノミストは警告している。

雇用増加を牽引したのはレジャー・接客業で、7万人増と過去12カ月平均の月間1万4000人増を大きく上回った。うちレストラン・バーで4万8000人増えており、サッカーのFIFAワールドカップに備えた採用とみられる。

地方政府は5万5000人増、ヘルスケアは3万5000人増となった。社会福祉、鉱業、採石、石油・ガス採掘でも雇用が増えた。

一方、金融業は2万2000人減で、2025年5月のピークから10万7000人減少した。保険・関連業務や商業銀行で減少が目立った。

時間当たり賃金の前年比上昇率は4月の3.6%から3.4%に鈍化した。4月のインフレ率は3年ぶりの高水準となっており、インフレ調整後の家計可処分所得は3カ月連続で減少、貯蓄率は4年ぶりの低水準にあり、個人消費の下押し要因となる可能性があるとエコノミストはみている。

エコノミストによると、就労年齢人口の伸びに見合う雇用増は月0─5万人と試算されている。移民取り締まりで労働力人口が減少したことから、この「均衡点」は低下し、失業率の上昇が抑えられているという。

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