日本にとって深刻なのは中国に関する分析の手薄さ
政策方向性は国ごとに異なる。問題は、日本が先例として参照している欧米の専門機関の関心が、ロシアに著しく傾いている。
もともとロシアに対する警戒心が高かったところに加えて、ウクライナ戦争によって、欧米の安全保障コミュニティの注意はロシアに向けられる。中国の調査研究は数が少ないうえに、中国自身の政策方向性を踏まえた形で行われていない。
たとえば作戦基盤を高い水準で捉えた報告書は、ロシアを対象とするもので47件あるのに対し、中国を対象とするものは1件も存在せず、イランは1件にとどまる。報告書の絶対数が少ないせいだろうか。それも補正してみた。
ロシアでの捕捉率17.5%(47件÷269件)を中国に当てはめれば、本来13件から14件は存在してよいはずだ。実際は0件である。中国の作戦基盤は、平均的な報告書だけでなく、最良の分析を見ても捉えられていない。量と質の二重の不足がそこにある。
最も警戒すべき相手が、最も捉えられていない。この逆転現象は、放置すれば自動的に深まってゆく。注意を向けていない相手には作戦基盤の捕捉も手薄になり、死角はいっそう広がるからだ。とりわけ危ういのが急発展している生成AIをめぐる死角である。
生成AIが運用するアカウントは現在すでに運用されているが、その検知、対策はほとんど行われていない。つまりLLMグルーミングとボット検出という二つの死角は別々にあるのではなく、生成AIによって検出の仕組みそのものが無力化される形で互いを増幅し合う。
生成AIのドクトリン得点が最高位の中国に対して、この死角を放っておくのは危険である。報告件数の少なさを脅威の小ささと取り違える誤りは、中国に対して最も犯してはならない。
多くの欧米の調査研究は、ロシアを想定したもので、中国の調査研究もその延長線上にある。日本は、中国を調査研究するための方法論を、独自に作っていかなければならない。
問題は、誰がそれをやるかだ。日本は何度も認知戦に対応する組織を作ろうとし、実際に作り、そしてうまく機能せずやり直す。その繰り返しだ。抜本的な見直しが必要だ。
なお、今回のコラムで引用した調査結果は、LLMを利用したデータ分析プロジェクト「仮創研」によるもので、LLMに由来する誤謬が含まれている可能性がある。現時点ではひとつの探索的な分析から得られた仮説としてご覧いただきたい。今後、精査し、規模を拡大するとともに精度をあげてゆく予定である。
Jリーグ発足後、飛躍的に進化した日本サッカー。W杯の頂点に挑み世界を驚かせる時が来た