土台から揺らぐ「教育・スキル形成」のパイプライン

若者がNEET化する経路は決して一様ではないが、その背景には社会的排除や不平等の連鎖が存在する。下層労働者階級出身の若者のNEET化率は22%に達するのに対し、専門職階級出身者では9%にとどまる。脱工業地帯や沿岸部の都市においてもNEET化率が極めて高い。

こうした地域では公共交通機関の利便性悪化や経済活動の停滞が若者の移動や就労機会を物理的に奪っている。社会的養護を受けていた若者は18歳で公的支援を打ち切られる「ケアの崖」に直面し、20歳時点でのNEET化率は40%を超える。

家族の介護や看病を担う若者は英国全体で約30万人存在すると推計され、学校の長期欠席や低学歴化を招く主因になっている。若者の労働市場への移行を支える「教育・スキル形成」のパイプラインはすでに土台から揺らいでいる。

必要なのは「福祉国家」から「就労国家」への変革

英国の教育システムは早期に失敗を決定づける傾向がある。就学前の4〜5歳で「良好な発達水準」に達しなかった子どもは16〜17歳時点でNEETになる確率が約3倍に跳ね上がる。コロナ危機以降、学校の長期欠席者は大幅に増え、完全な不登校も急増している。

現行の学校カリキュラムは「試験への合格」を過度に偏重し、就職に必要なコミュニケーション能力、自己管理能力の育成を軽視している。英国における職場体験の実施率は国際的に見ても低水準にあり、恵まれない環境に置かれている生徒ほど企業との接点を持つ機会が少ない。

何もしなければ5年以内にNEET化率は16%を超え、125万人に達する見込みだ。現在の福祉国家モデルは人生のスタート地点で社会から見放された現代の若者のニーズに全く適合していない。いま必要なのは「福祉国家」から社会参加を第一義とする「就労国家」への変革だという。

【動画】ニートがあふれかえるイギリスの現状
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