<急増するニートはもはや個人の問題ではなく、国家レベルの問題となっている>
[ロンドン発]「16歳で必要な中等教育修了資格が取れず、職業技術カレッジも人間関係がうまく行かず諦めた後、次に何をすべきか誰も教えてくれなかった。ただ家の中に引きこもって『ああ、これで私の人生は終わりなんだ』と思っていた」(ベルファストの16歳少女)
「隔離室に入れられた。その日の授業の課題をすべて何のヘルプもなしに渡された。給食の30分前に部屋を出て持ち帰って1人で食べながら課題を解く。そんなの、ただ鬱になるだけだ。おそらく子どもたちは学校についてそう感じている」(学校の対応で心を折られた若者)
社会的流動性と労働・福祉改革の旗振り役アラン・ミルバーン元英保健相がまとめた中間報告書『若者と仕事』(5月28日付)で英国の16~24歳のうち約100万人(約8人に1人)が就学・就労・職業訓練のいずれにも参加しない「NEET(ニート)」状態にあることが分かった。
背景に不安障害やうつ病、神経発達症の急増
NEETの6割が仕事を探していないか、探せない状態にある。一時的な若年失業問題ではなく、労働市場からの構造的な離脱を意味する。かつては出産や育児に伴う女性の離職が若年層の非労働力化の主因だった。しかし現在は若者たちの心身の健康悪化が大きな問題になっている。
NEETに占める障害保有者の割合は45%に達しており、メンタルヘルスの不安障害やうつ病に加えて、自閉スペクトラム症や学習困難など神経発達・認知面の課題を抱える若者の増加も目立つ。個々の人生を著しく損なうだけでなく、国家経済にも甚大な損失をもたらしている。
ミルバーン報告書は若者のNEET化によるマクロ経済への影響、税収減、給付費の増大などを合算した累積的年間コストを約1250億ポンド(約26兆9000億円)と推計する。英国の年間教育予算を上回る規模で、持続不可能なことは明白だ。