教皇は政治目的で話していない
だがバンスやヘグセス、キリスト教ナショナリズム運動とつながりがある敬虔な南部バプテスト派のマイク・ジョンソン下院議長らは、戦争を異なる道徳観で捉えている。
「受難の主日」に当たる3月29日、レオ14世はこう説いた。「私たちの神イエスは戦争を拒絶する『平和の君』である。誰も戦争を正当化するために利用することはできない。イエスは戦争を行う者たちの祈りに耳を貸さず、それを退ける」
4月15日、ジョンソンは教皇の説教に「驚いた」と語り、「正義の戦争論」に言及。一部の戦争は道徳的に正当化され得るという考えは「キリスト教神学で十分確立された教義だ」と主張して、トランプやバンスの発言はイラン戦争の重大性への「深い理解」の反映だと述べた。
この「確立された教義」論は、カトリックの教義が欧米の古い神学的伝統に今も依拠しているという前提に立っている。だが、欧米はもはや教会全体を代表する存在ではない。
実際、教会の重心は既に移動している。今ではカトリック信徒の約40%が中南米にいる。アフリカは20%強で、ほぼヨーロッパと同じ。一方、北米はアメリカとカナダを合わせて6.6%程度でしかない。
戦争や移民、公共の善に関するレオ14世の発言は、長年の教会の教義を明快に述べたにすぎない。従来と違うのは、「アメリカ人教皇」の権威と共に語ったという点だ。こうなると、「外国人の見解」として簡単に切り捨てるわけにはいかない。
「教皇は政治的目的で話しているのではない。個人的意見を述べているわけでもない」と、ニューハンプシャー大学のディロンは指摘する。「聖職者として、教会が客観的に道徳的と考える道を明快に語っている」