プロテスタントの支配的立場は消滅
ニューハンプシャー大学のミシェル・ディロン教授(社会学)は、カトリックとアメリカのプロテスタントとの緊張関係について長年、研究してきた。「かつてアメリカの権力を握っていたのは主流派プロテスタントだったが、その支配的立場は消滅した」と、ディロンは言う。「トランプ政権においては福音派の熱情がポピュリズムのエネルギーをもたらす一方で、カトリックの伝統主義が政策を主導する立場の人々の多くに強い影響をもたらしている」
トランプ政権には、さまざまなキリスト教勢力が集まっている。宗教右派との結び付きが強い福音派プロテスタントのピート・ヘグセス国防長官、マルコ・ルビオ国務長官はカトリック教徒で、バンス副大統領も近年になってカトリックに改宗した。
だが、トランプがSNSで教皇を公然と攻撃し、自分をキリストに模した画像を投稿する騒ぎを起こした後、削除したのは画像だけだった。
「レオからの手紙」発行人のクリストファー・ヘールは、この判断にMAGA(アメリカを再び偉大に)運動の保守派連合に対する見方が表れているとみる。「自分をイエス・キリストになぞらえた画像はカトリック以上に福音派を怒らせるものだったと思う。カトリックは教皇攻撃の投稿に怒ったが、こちらは削除されなかった」
両者の対立は、神学上の深い分断も浮き彫りにした。1960年代の第2バチカン公会議以降の「正義の戦争」論に基づく現代カトリックの教義では、戦争を道徳的に正当化することは極めて難しいとされる。「アメリカ」誌サム・ソーヤー編集長によれば、「戦争を正義と認めることはほぼ不可能」だ。