しかしそれで済ませていたのなら、これは文科相の指摘するように一方的ですし、偏向していると言われても仕方がありません。何が欠けていたのかというと、基地をどうして推進する必要があるのかという問題です。例えば、普天間基地の廃止に合意し、代替として辺野古を提案した当時の外交官や政治家にインタビューするのも一手です。

更に言えば、沖縄駐留米軍海兵隊の司令部を訪問して、彼らの見解を聞くのも非常に効果的な学習になります。自衛隊の幹部や広報に面会して、沖縄における自主防衛の現状と展望を聞くというのも大事です。更に言えば、抑止バランスの対象となっている中国の立場、紛争の現場となり得る台湾の立場なども生きた学習の対象になるでしょう。

そのように問題を構成し、また対立軸の双方に位置する当事者全体にヒアリングして、全体像を把握した上で、何が問題であり、次世代の有権者として、どう考えたら良いのかを学習する、これが重要です。

そう考えると、反対派に偏ってヒアリングと抗議活動に参加するというのは、全くもって学習活動としては不完全になります。高校生というのは、すぐにでも有権者になるし、大学で国際関係論を専攻する人はもうすぐ専門的な論文と向かい合うことになります。もう子どもではないのです。

「平和学習」のあるべき姿とは

あるべき姿というのは、仮に平和学習、つまり戦争と平和、軍事外交に関する高校生レベルの学習をするのであれば、当事者の双方、あるいは全体について網羅的に学んだ上で、ディベートなり論文による論戦なりを通じて理解を深めさせるべきなのです。問題は同じように米軍、自衛隊の側の情報収集や体験学習が欠けているために、全体が偏った、つまり生徒達が問題の全体像を理解するには不完全な学習計画になっていたということです。

この点で同志社国際高校には猛省を促したいと思います。ですが、文科相談話もそれでは全く不十分なのです。少ない若者を優秀な有権者にして、国の方向を誤らないようにするには、禁止という事なかれ主義では全く不十分です。

今回の事件の教訓を生かして、次の平和学習においては、安全管理を徹底しつつ、抗議船だけでなく、米軍や自衛隊の艦艇やヘリの双方に乗り、双方の言い分を聞くべきです。その上で、沖縄戦の歴史、米軍の軍政が反発を買い沖縄県民の多くが本土復帰を願った歴史、地政学上の位置、島嶼防衛、抑止力の概念など、歴史と外交と軍事に関わる専門知識を十分に得られるような教育体験を用意するべきです。

教育基本法に立ち返って考えるのは良いことですが、その結論が、禁止という事なかれ主義では全くもって不十分です。そうではなく、双方の主張と豊富なファクトを網羅的に学ぶことでバランスを取りつつ、自分たちで考える材料を用意すべきという問題なのです。

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