AIに「判断」まで委ねることのリスク

人間の側の課題も大きい。グーグルなどの検索エンジンが情報収集のツールだったのに対し、生成AIは集めた情報に基づく判断(何を食べるか、どの病院を受診するか、手術を受けるべきかなど)までカバーできる。だが判断基準や、その背後にある価値観はブラックボックスに隠されており、利用者それぞれの事情や思いが反映されるとは限らない。

「健康に関する選択は一人一人の人生観や世界観に直結する。AIを使う場合、本来なら自分が下すはずだった判断を知らず知らずのうちにAIに委ねていることを自覚する必要がある」と、古井は言う。

情報に振り回されがちな人々を支えるために、行政や医療現場もさまざまな支援を始めている。不健康な食品への課税や予防医療へのアクセス強化といった環境整備に加えて、科学的根拠に基づく情報を発信するプラットフォームの整備も各国で進んでいる。

また、医療従事者が患者への伝え方を学んだり、患者に説明内容を自分の言葉で言い直してもらう「ティーチバック」の手法を取り入れる動きもある。

それでも最終的には、そうした環境を生かせるかは本人次第の面が大きい。自分の人生の舵を最後まで握っていたいのなら、健康管理だけでなく情報との向き合い方もアップデートし続ける努力が不可欠だ。

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