韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と日本の高市早苗首相が5月19日、李の故郷の安東で会談した。再開されたシャトル外交の一環で、今年1月には李が高市の地元、奈良を訪れている。昨年10月の高市の首相就任から4回目、昨年6月の李の就任以降でも平均すると2カ月に1回、日韓首脳は顔を合わせている。
会談の頻度に加えて、2人の見るからに良好な関係は、それ自体が日韓関係にとって明るい材料である。当初は両者の政治的な思想の違いも懸念されたが、友好的で協調的な関係を維持している。APECなど国際会議でのやりとりからは個人的な親密さもうかがえる。
日韓両政府は、歴史問題のような敏感なテーマでも一定の外交的自制を保っている。李は大統領として竹島(韓国名・独島〔トクト〕)を訪問するといった行動を避け、高市も今年2月の「竹島の日」の式典に閣僚級の代表を派遣しなかった。こうした相互の自制は、協力を深めることの戦略的重要性をこれまで以上に認識し、外交の前進を持続させることにつながっている。
2人の故郷という演出も意味深い。韓国と日本の首脳が互いの地元を訪れたのは初めてで、外交に個人的な色合いを与えている。
今回の会談ではエネルギー供給網の強靭化に加え、AI(人工知能)や経済安全保障分野で協力を強化することで合意した。両国は共にエネルギー輸入国として、ホルムズ海峡の地政学的な不安定性に対して似たような脆弱性を抱えており、石油供給と戦略備蓄、原油・石油製品の相互融通など、サプライチェーン強化に向けた協力を加速させることを申し合わせた。
さらに、安全保障における連携の強化も再確認した。今回の会談に先立ち、両国は定例の安全保障対話を局長級から次官級へ格上げしており、協議の制度化を目指すことで一致した。
もっとも、日韓の協力を政治的に進めやすい分野は軍事面の統合ではなく、経済安全保障、技術協力、海洋協調だろう。軍事協力は依然として政治的に敏感な問題であり、韓国では日本の軍備強化が軍拡競争を誘発し、地域の不安定化につながるのではないかという懸念が根強い。