再生可能エネルギーによる発電で得た収益を、住民に「年金」として分配。太陽が照れば収入が増え、風が吹けばまた増える──。そんな制度が、韓国の地方自治体で静かに広がっている。

日本では、2012年に導入した固定価格買取制度(FIT)を機に太陽光発電が急増したが、その後は売電価格が低下。また山林を伐採してパネルを設置する事業者と地域住民のトラブルが各地で相次いだ。大雨のたびに土砂崩れの懸念が語られ、「再エネは地域に何をもたらすのか」という問いへの答えは出ていない。

韓国でも発電施設の設置をめぐる住民の反発という壁に直面してきた。だがその壁を乗り越える手段として、一部の自治体が選んだのが「収益の直接配分」だった。発電施設が建つ代わりに、売電収入は住民に還元される。人口減少に苦しむ離島では、「年金」が人を呼び戻す起爆剤にもなった。

しかし、すべてがうまくいっている訳ではない。政策として掲げた「太陽光収入村」の構想が、送電線接続という現実の壁に阻まれ、着工から1年近く収益ゼロのままの村も生まれている。

再エネで住民一人当たり63万円を配分

2021年、韓国南西部の全羅南道新安郡(チョンラナムドシナンぐん)が韓国初となる「太陽光年金」を導入した。太陽光発電による収益を住民に還元することから、発電施設設置について住民の理解と協力を得られるメリットがある。新安郡は2025年には風力発電のための「風年金」も導入、住民の半分近い1万8997人に累計300億ウォン以上を支給した。2028年には390MW(メガワット)規模の海上風力発電所を完工させる計画で、全住民に1人当たり年間600万ウォン(約63万円)程度の配分を見込んでいる。

新安郡は有人島72と無人島932、合わせて1004の島で構成される島嶼郡で、1980年代には10万人が暮らしていたがその後過疎化が進行。2019年に4万人を割り込んで「消滅可能性都市」に直面した。太陽光年金に加えて児童手当の支給を開始すると一転して人口が増えはじめ4万2000人まで回復した。

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各自治体が続々と再エネに参入
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