<認知戦レポートは増えている。だが、その分析は本当に安全保障の議論に使えるのか。新領域安全保障研究所(INODS)が公開したチェックリストは、その根本問題を実務的に問い直した>
私が関わる新領域安全保障研究所が5月8日に、「認知戦レポート作成のためのチェックリスト 認知戦、FIMI、デジタル影響工作、CIB等レポート比較試論」という記事を掲載した。
これまで日本での認知戦、FIMI、デジタル影響工作、CIB等(以下、認知戦)の議論で取り上げられてこなかった「使える」レポートを作るという課題に、地味だが実務的な答えを出すべく試みたものだ。
「このレポートは、安全保障の議論に使えるのか?」
認知戦は幅広い脅威をカバーしているので、その内容は多岐にわたる。レポートを作る側も読む側も、おおまかにはレポートの用途について想定しているが、ほんとうにその用途に役立つかわからない。読んだ後もわからないことは少なくない。
一般公開されている国内外のレポートの中には、海外からの干渉の詳細な分析の後に、「影響はほとんどなかった」と書かれていることも少なくない(影響がないならレポートを書くのも読むのも必要ないのでは?)。
今回は、特に「安全保障の議論の根拠として使えるか?」に絞って整理した。
Meta、DFRLab、ISD、読売新聞、INODSという発行元も目的も異なる5レポートを並べ、共通のチェック項目で評価することで、「同じく認知戦に関する分析と呼ばれていても、視点が変われば使える部分と使えない部分は大きく異なる」という当たり前で、しかし曖昧にされてきた事実を可視化した。
まず、取り上げた5つの機関をご紹介しておきたい。