チェックリストの活用方法
このチェックリストはいまだに不十分で未完成だが、より専門的な議論を経てブラッシュアップすれば実務で活用することもできるようになる。
第一に、官公庁や企業がレポートを発注する際の仕様書として使える。これまでの発注の際の仕様は具体性に欠ける面があった。
テーマと課題は設定できても、詳細まで詰めることができない。チェック項目18点を仕様に盛り込み、「特に許容水準超過の確認、受け手側評価、ボット検出は必須」と指定するだけで、納品物の質が劇的に変わる。発注側がチェックリストを持つこと自体が、業界全体の底上げにつながる。
第二に、既存レポートを読む際のチェックリストになる。新聞記事や政府発表、シンクタンク報告に触れたとき、「攻撃側の特定はあるか/受け手側の評価はあるか/ボット検出など技術的根拠はあるか/許容水準を超えていることが確認されているか」を順に当てはめれば、その情報が議論の根拠として使えるかが判別できる。
読売新聞の記事のように、ナラティブ分析が見事でも許容水準の確認なしに「中国の認知戦」と断じている場合、それは記事として読むのは構わないが、安全保障の根拠としては使えない、と判断できる。
第三に、レポートを書く側の自己点検ツールとして利用できる。アトリビューションを書く前に「自分は具体的根拠を提示しているか、それとも匿名取材だけで断定していないか」と問う。
提言を書く前に「これは自分の判断か、外部専門家の引用を読者に判断と推測させているだけか」と問う。本稿の評価ルール——根拠が明示されていないものは評価を下げる、外部専門家の引用はレポート自身の判断として扱わない、具体的根拠のないアトリビューションは△にする——は、書き手にとっての自戒のリストでもある。
このチェック手順はLLMの手順(いわゆるSkills)として開発しており、ひとつのレポートの詳細分析から複数のレポートの比較も可能となっている。まだまだ不十分であるが、実用レベルに達したら一般公開する予定である。
開発に当たってはより多くのレポート執筆者や発注者からの視点を盛り込みたいので、協力してくれる方を募集している。ご協力いただける方はXの私のアカウントもしくは新領域安全保障研究所の問い合わせからご連絡いただければ幸いである。
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