一方、疑惑を調査するはずの公的機関が動いた気配はない。詐欺行為の追及に積極的だったSECの執行責任者マーガレット・ライアンは3月中旬、就任からわずか6カ月で突如辞任した。ロイターの報道によれば、第2次トランプ政権でSECの委員長に起用されたポール・アトキンスに煙たがられたようだ。
司法省はどうか。あそこにはウォーターゲート事件後に設置された「公的誠実性」部門がある。政府部内の腐敗をただすのが役目で、トランプがホワイトハウスに戻ってきた時点では専従の法律家が36人いた。しかし今は2人きり。身内の悪には目をつぶれ、ということだろう。
在来型のインサイダー取引なら、規制当局が取引記録などの証拠を調べて(その気になれば)摘発できる。しかし今は各種の「予測市場」で多額の資金が動いている。こちらは先物市場より透明性が低く、当局の目が届かず、ある意味、たちが悪い。
有力な運営会社は「ポリマーケット」や「カルシ」などで、そこでは現実世界で何が起こるかを予測して金を賭ける。予測どおりになれば勝ち、外れたら負けだ。「アメリカは2月28日までにイランを攻撃する」に賭けた人は勝ち。「3月中に停戦が成立する」に賭けた人は負け。「イエス・キリストは今年中に再臨する」に賭けた人もいるが、結果はまだ出ていない。
米軍によるイラン攻撃日の予測には、なんと5億ドル以上が投じられていた。そして攻撃開始の数日前に、実に興味深い動きがあった。
ブロックチェーン分析会社バブルマップスによると、この時は6つのアカウントが合計120万ドルの利益を上げていた。そのうちの1つは2月にポリマーケットに登録したばかりで、他のトピックに賭けたことは一度もなかったが、約50万ドルを稼いだ。
※この記事は前編です。後編は5月1日にアップロードされます。