市場の荒波をくぐり抜けて数々の資産運用を手掛け、オプション戦略の助言も行ってきたコウによると、このような投機筋には1枚当たり2万4000~2万5000ドルの証拠金が求められる。ならばこの人物は月曜日の早朝、市場が開く前に何千万ドルかを、強い確信をもって投じたことになる。「個人投資家ではない」とコウは断言した。「疑惑を招くのは当然だ」

むろん疑惑は招いた。だが規制当局が動き、事の重大性に見合った対応をすることは(少なくとも表向きは)なかった。分刻みでニュースが更新されるような時代にあっては、市井の人々が怒りの声を上げても、すぐ次の話題にかき消されてしまう。悪質な市場操作? いやいや、もっとひどい話がある。

そう、トランプがイランとの2週間の停戦合意を発表した4月7日にも、発表の数時間前に同じようなことが起きていた。LSEG(ロンドン証券取引所グループ)のデータによれば、複数の投資家が原油価格の下落を見越し、北海ブレントとWTIの先物計8600枚(約9億5000万ドル相当)のポジションを取っていた。情勢の安定に大きく賭けた投資家が儲けたのは間違いない。

また英フィナンシャル・タイムズ紙によると、モルガン・スタンレーで国防長官ピート・ヘグセスの個人口座を担当する人物は今年2月、資産運用会社ブラックロックに接触し、防衛大手企業を組み入れたETF(上場投資信託)への数百万ドルの投資を持ちかけていた。ただしこの取引はブラックロック社内で問題視され、実行には移されなかったという。

公的機関が動く気配なし
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