インフレへの懸念が高まり、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を据え置く中、8年間にわたった任期を終えるパウエルFRB議長は、トランプ政権による攻撃からFRBの独立性を守るため、当面は理事としてFRBにとどまる意向を示した。
議長として最後となる連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「5月15日に議長としての任期が終了した後も、一定期間、理事として職務を継続する」との意向を表明。「目立った反対派のような存在になろうとしているわけではない」とした上で、FRBを取り巻く政治情勢が「落ち着き」、FRBが本来の使命に集中できるようになることを見届けたいとした。
その上で「適切な時期と判断した時点で」FRBを去るとし、これはFRBの金融政策遂行能力を脅かす一連の法的攻撃に対する懸念を反映したものだと語った。
パウエル氏は、政治的攻撃が「FRBという組織を傷つけ、国民にとって本当に重要な、政治的要因を考慮せずに金融政策を実施する能力を危険にさらしていることを懸念している」とし、米国民が政治的影響を受けないFRBを信頼できることが重要だとの考えを改めて示した。
同氏の理事としての任期は2028年1月まで。自身が理事職をいつまで続けるかについては将来判断すると述べた。
パウエル氏は「われわれは皆人間だ。完璧さを期待してはならない。しかし、政治的な考慮なしに決定を下すことは期待してほしい」と力を込めた。
一方、トランプ大統領はSNSに「ジェローム・『遅過ぎ』・パウエルは、他に職が見つからないからFRBに残りたいのだ。誰も彼を欲しがっていない」と投稿。これまでには、パウエル氏がFRB理事として留任すれば解任すると脅している。
米上院銀行委員会は29日、ケビン・ウォーシュ氏のFRB議長指名を13対11で承認。これを受け、ウォーシュ氏の指名承認は本会議での採決に進む。本会議でのウォーシュ氏の指名承認の採決は、早ければ5月11日の週に行われる可能性がある。その場合、パウエル氏の議長任期が終わる前にウォーシュ氏が就任宣誓できる見通しだ。