たった1、2度程度の水温変化でも影響甚大な理由

気候変動と温暖化は簡単に止められるものではないが、日本沿岸の水温も、長期間にわたって確実に上昇しているようだ。気象庁によれば、日本近海の海面水温は2024年までの100年間で1.33度上昇しているという。

当然ながら漁業にも大きな影響が表れており、その解説をするにあたって著者は「比熱」を引き合いに出している。

「比熱」とは物質1グラム当たりの温度を1度あげるのに必要な熱量のことで、水の比熱は約4ジュール、空気の比熱は約1ジュールですから、水は約4倍の熱容量を持っています。さらに水は分子の密度が高く、空気の約25倍も熱を伝えやすいのです。同じ温度でもサウナは楽しめるのに熱湯では火傷してしまうのはそのためです。(61ページより)

たった1、2度程度の水温変化ならたいしたことがなさそうだと感じなくはないが、魚介類にとって影響はかなり大きいようだ。

養殖は別として、魚介類は囲いの中で飼育されているわけではない。居心地のよい水温の場所、餌が豊富な場所、産卵に適した場所を求めて自由に移動するので、海水温が上昇すれば回遊経路や産卵場が大きく変化するのは当然だ。

例えば近年、スルメイカやサンマの大不漁が続いた理由のひとつにも、潮流の変化や海水温の上昇があるようだ。

かつてスルメイカは日本の漁業で最も漁獲の多い水産物のひとつで、約30年前の1996年には40万トンを超える水揚げがあった。ところが2016年以降は大きく減少し、2023年には2.1万トンまで落ち込んだそうだ。

最盛期の秋半ばには1尾100円という手頃な価格で店頭に積まれていたサンマも、近年は漁獲量が激減。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、2022年には1.8万トンと過去最低を記録。2023年にはわずかに盛り返したものの、かつての10分の1の低水準だという。

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