「人」を疑う目ではなく、「場所」を整える発想を
3:「監視性」とは、犯罪者の標的の周辺環境に関する要素であり、犯罪者の行動を見張り、犯行対象を見守る性質のこと──言い換えれば、犯罪行為が目撃される可能性だ。監視性は、物理的な「視認性」と心理的な「当事者意識」から構成される。
このうち視認性とは、周囲からの視線が犯罪者に届く状態のことだ。それを高める手法としては、ガラス張り、植栽管理、カメラ、ライト、ミラー(鏡)、モニター付きインターホン、トレーサビリティー(履歴管理)、ナンバーディスプレイ(発信者番号表示)などがある。
一方、当事者意識とは、主体的にかかわろうという意思のことだ。それを高める手法としては、清掃活動、あいさつ運動、一戸一灯運動、花壇づくり運動、ボランティア活動、ルールづくり、市民性教育、投書箱設置、オンラインコミュニティなどがある。視認性が犯行をためらわせる客観的な視線なのに対し、当事者意識は犯行をためらわせる主観的な視線だ。
先月、この「犯罪抑止の3要素」を踏まえた「住まいの防犯リフォームガイド」が公開された(発行:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会、協力:国土交通省住宅局住宅生産課、警察庁生活安全局生活安全企画課)。
また、一般的な防犯と「犯罪抑止の3要素」の関係をまとめたものとして、富山県生活環境文化部県民生活課が発行した「『防犯上の指針』の概要」がある。
こうした犯罪機会論の知恵を日々の暮らしに生かすことで、被害は未然に防ぐことができる。悲劇を減らすためには、「人」を疑う目ではなく、「場所」を整える発想が欠かせない。