その理由の1つは、音響設計がとにかく圧倒的なのだ。レイブパーティーのシーンだけではない。ずっと響き続けている。音楽ではない。あくまでも音響。それが世界をつくる。視覚と聴覚が総動員される。映画において音響は本当に重要だ。それを今さらのように実感した。

内容には踏み込めない。踏み込みたくない。周辺をなぞるしかない。タイトルの「シラート」はアラビア語で「道」を意味するが、審判の日に天国と地獄の間に架けられる細い橋を象徴する言葉でもあるらしい。なるほど。だから道は細く険しくなり、トラックは徐行運転を余儀なくされるのか。

……つい踏み込んだ。これ以上は書けない。監督と脚本はオリベル・ラシェ。長編はこれが4作目らしいが、僕は本作で初めて名前を知った。ネットで検索すれば、「2025年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞など4冠を獲得した」「第98回アカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞にノミネートされた」などの情報があるが、「ノミネート」ということは受賞を逃したということ。まあそうだろう。ウェルメイドでもないし、「涙が止まりません」とか「勇気をもらいました」などのコメントができる映画でもない。でもすごい。それしか書けない。自分では書けないので、公式資料に記載されている「ストーリー」を以下に引用する。

徒手空拳で観てほしい
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