<「次」を担う調整役として浮上したのは、強硬路線と現実的な交渉を両立してきた実務家だった――>

アメリカとイスラエルの空爆により、イランの最高指導者アリ・ハメネイが死亡したことを受け、イランの最高安全保障委員会(SNSC)事務局長の職にあるアリ・ラリジャニに注目が集まっている。

多くの専門家は、ラリジャニが実務的な交渉者としてトランプ米政権と合意を結ぶ可能性があると考えている。ベネズエラのマドゥロ政権が崩壊した後、暫定大統領に就いたデルシー・ロドリゲス副大統領のようなイメージだ。

1958年生まれのラリジャニは、イランの名門大学でコンピューター科学を学んだ。イラン革命防衛隊に加わったのは、イラン・イラク戦争が始まって2年後の82年。その後、昇進を重ね、革命防衛隊で参謀本部次長に上り詰めた。

92年には、ラフサンジャニ大統領の下で文化イスラム指導相に就任。実務感覚を発揮し、形骸化していた禁止措置を撤廃してビデオテープの所持を合法化するなどした。

その後、ハメネイに行政手腕を評価されて数々の要職を歴任。2005年にはSNSCの事務局長に就任し、核協議の交渉責任者を務めた。

その際の交渉手法は、イデオロギー面で強硬な姿勢を貫きつつ、戦術面では現実的な姿勢で臨むというものだった。核開発計画を継続する一方で、ヨーロッパの交渉仲介者との関係は維持したのだ。

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