「作品を大事にしてくれる会社」。コミックス・ウェーブ・フィルムの角南一城常務取締役は、東宝の印象を聞かれるとそう答えた。東宝とのつながりは、2013年の新海誠監督の中編『言の葉の庭』の配給に始まる。その時の信頼が次作の『君の名は。』につながった。

「大きな会社からオファーが来たからといって安易にOKを出さない。新海誠監督をこれから世界に広げていこうと考えてくれている」と、角南氏。そしてビジネス面の評価も高い。

「『君の名は。』の実写化には数多くオファーがありましたが、東宝はスタジオでの力や実現性をもとにきちんと整理します。説明はとても丁寧でしたね。そしてすごく条件闘争をしてくれました。かなり戦っていただき、よい契約内容になりました」

この日本の制作者やコンテンツホルダーからの信頼が、今後の海外事業にも生きてくるに違いない。

ハリウッドは映画人にとっての夢

日本の映画人にとってはハリウッドでの成功は大きな夢だ。松岡氏も「映画ビジネスでハリウッドは頂点なので、全世界にハリウッドの名前で同時に配給できることを映画人は考えます」と語る。

しかし世界の映画マーケットは北米だけでない。近年は巨大な市場と成長性の高さから、中国への注目が増している。実は東宝は、中国市場でも着実にビジネスを進めている。日本映画自体を持っていくのはハードルが高いとし、ここでも狙いは国際共同プロジェクトになる。今回は未発表でもあり詳細は聞けなかった。しかし、近い将来に中国からも東宝のかかわる大型プロジェクトが飛び出す可能性もありそうだ。

堅実経営からの大胆な転換を図る東宝が、日本の海外映画ビジネスを変える日が来るかもしれない。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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