インサイトはさまざまな観測装置を駆使して、火星の内部構造や熱、小さな動きなどを調べる

火星のバイタルサインからわかること

そしてもうひとつが、火星がどのようにしてできて、そして進化してきたのかということである。

火星は地球や月と同じ材料からできたと考えられているが、まだ確かな証拠はない。そもそも、火星の内部がどうなっているかもわかっていない。

そこで地震計を使い、火星の内部を伝わる揺れの波の伝わり方を調べることで、火星の内部にどんな物質がどれだけあるのかを推定することができる。また、温度計を使って、火星の内部から流れてくる温度を正確に測れば、内部でどのような活動が起こっているのかがわかる。これらのデータを組み合わせることで、火星内部についてより詳細かつ正確に推定することができる。

これらのことがわかれば、いまから約45億年前に火星ができたときに、どのような姿かたちをしていたのか、そしてどういう進化の歴史を歩んできたのかがわかる。火星の内部には、その誕生から現在までの痕跡が残っているのである。

さらに、インサイトによる探査でわかるのは、火星のことだけにとどまらない。NASAの科学ミッションの責任者を務めるThomas Zurbuchen氏はインサイトは火星についてだけでなく、地球や月のような他の岩石でできた惑星や、他の恒星のまわりを回る何千もの系外惑星についての理解も深めることになるだろう」と「期待を語る

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インサイトによる探査で、火星の起源と歴史だけでなく、地球や月についても、さらに太陽系外惑星についてもより深く知ることができるかもしれない (C) NASA/JPL-CALTECH

火星到着は秋、夏には火星と地球が大接近

打ち上げ後のインサイトの状態は正常で、火星に向けて順調に飛行を続けている。

インサイトはこれから宇宙を約6か月間にわたって飛行し、今年の11月26日に火星に着陸する。火星着陸は難しく、火星大気への突入から着陸までにかかる時間から「恐怖の7分間」とも呼ばれる。NASAは探査機の運用室からの中継を予定しているので、当日は関係者とともに見守ることもできる。無事に着陸すれば、観測機器を展開して探査を開始。探査期間は約2年(火星の時間では約1年)が予定されている。

折しも、今年7月31日には、火星と地球の距離が接近する「火星大接近」が起こる。2003年以来、15年ぶりに最も近づくとあって、大勢の人が夜空を見上げる機会になろう。

この夏、夜空に赤く輝く火星を見ながら、火星の歴史と、その内部に潜む謎に挑もうとするインサイトに、想いを馳せるのも一興かもしれない。

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今年7月31日には、2003年以来、15年ぶりに火星と地球とが大接近する (C) NASA