異端

中国では長いあいだ、反体制文化や破壊的芸術は異端であったが、習近平時代に入り、政治的に不適切と思われる資料を禁止したり政府批判を取り締まったりといった検閲によって、そうした文化はほぼ姿を消した。

国際的に最も認められている中国の芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏は中国政府を厳しく批判したことで、軟禁生活を強いられ、2015年に母国を去った。同氏は2008年の北京五輪会場となった鳥の巣スタジアムの設計に携わっている。

かつてはロックンロールの反逆者たちも検閲を抑えるため行動を改めるか、わきに追いやられた。

艾氏とのつながりが疑われ、2011─14年に政府から活動を禁じられた音楽プロデューサー、左小祖咒氏は、政府の方針に従うことを選んだ1人だ。

「大変苦労したが、今では比較的社会に受け入れられるイメージを確立した」と、左小祖咒氏について彼の代理人はロイターに語った。慎重を要する問題ゆえ、代理人は同氏への取材を拒否した。

1989年に北京の天安門広場で起きた学生民主化運動の愛唱歌となった「一無所有」を作ったアーティストの崔健氏は、2014年に国営テレビの番組から降りた。この曲を歌ってはいけないと言われたのが理由だと、同氏のマネジャーは当時語っていた。

その一方で、党の方針を受け入れた映画や音楽は国による支援の恩恵を受け、中国の巨大なファン層を獲得していった。

明らかに愛国主義的な映画「戦狼2」は7月の公開後、中国で興行収入の首位に立った。それには、国営メディアの強い後押しも一役買っている。

グラミー賞を主催する米レコーディング・アカデミーは先月、受賞アーティストによる中国ツアーを企画しているが、「ポジティブで健全なイメージのアーティスト」しか宣伝できないと語った。

ラップグループ「天府事変」の李さんは現在、来月の共産党大会を控え、曲作りに励んでいる。そのタイトルは「習近平国家主席への手紙」だ。

だが、李さん自身は党に属していない。反抗的な若者にはいくぶん敷居が高いらしい。

「あまりに面倒で複雑なので、入党申込書が書けない」と李さんは語った。

(Pei Li記者、Tony Munroe記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[ロイター]
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