『なぜこの店で買ってしまうのか──ショッピングの科学』(パコ・アンダーヒル著)という本をご存じですか?
アメリカの実践派コンサルタントが書いた本ですが、彼らはクライアントの店内に何カ所もビデオカメラを設置して、ひたすら撮影する。そのビデオを延々と見て、お客さんたちがどこで困っているのか、を探る手法を開発しています。
博報堂の生活総合研究所でも、ある生活者の生活行動を調べるのに、一日中調査員がご自宅の中にお邪魔するような調査手法を持っています。これは実際に観察することで、疑似体験をするやり方ですね。
しかしそこまで時間とお金をかけていられない......どうしましょう?
一人二役、三役やってしまいましょう。子ども役、大人役、お年寄り役。
とあるスーパーでは、店員さんたちがお客さまの側に回るシミュレーショントレーニングを行ったことがあるそうです。すると店長さんがまず感動。レジ打ちなどに従事するパートさんの気持ちと苦労を体感できたそうです。役員など経営陣の方々も参加されたようですが、その後の改革のスピードは猛烈に速かったとか。
また同じくスーパー業界の話ですが、アイルランドの「スーパークイン」では、月に1回、自分で買い物をすることが取締役に義務づけられているそうです。
クルマ業界の方であれば、競合車をレンタカーしてみる、エルダービジネスがお仕事ならいつもよりゆっくりしたスピードで街を歩いてみる。業界によって方法は様々あると思いますが、肝心なのは、自分と違う立場・ポジションをできる限りなりきって疑似体験すること。
実際に自分自身が"演じている"ことは強いです。やってみると分かること、が実はたくさんあるんですね。
七色いんこにチャレンジしてみてください。段違いに深く、バラエティに富んだ「既存の要素」を知ることができます。当然、あなたのアイデアも段違いに面白くなるはずですよ、きっと。