ベネズエラの状況をその他の南米諸国での治安の悪さの延長として考えることは、ベネズエラにおけるリスクの過小評価につながります。

ではベネズエラのリスクとは何なのか?

簡単にいえば、社会にルールが存在しないことです。無法地帯なのです。

(↑略奪に参加する国家警備隊)

1. 外出

多くのベネズエラ人は身を守るため、むやみに外出するのを控える、移動には車を使う、ということを徹底しています。

昨年、長年住んだベネズエラを離れた小谷さんはこう言います。


個人的には40年近く住んでコソ泥以外恐ろしい目に遭ったことはないが、家の周りは有刺鉄線を巡らせ、警報機、番犬のほか、必ず誰か留守番を頼んでいる。外出する時は目立たない恰好に運動靴、最低限の物だけを身に付け、行く場所の状況をTwitterで調べ、用事を済ませると一目散に帰宅する。それだけでも精神的にくたくたになった。治安が帰国した一番の理由だった。

世界で最も危険な都市と言われるカラカスですが、今でも若者が夜にパーティーなどをしているのは事実です。彼らは、例えば休日前は外出しない、予備の携帯を用意する、携帯は持ち歩かないなど身を守るための持論を展開していますが、内心、それがただの気休めで、自分に嘘をついているだけだとわかっています。安全ではありません。

【参考記事】崩れゆくベネズエラ ── 不穏な政治状況、物不足と連日の襲撃事件

2. 国境付近

国境は武装した組織犯罪集団(軍、国家警備隊、ギャングなど)がいるため、概して危険です。

港では軍が食料の密輸などを大規模に行っており、空港では強盗が頻繁に起きています(昨年カラカスの空港で強盗に抵抗して殺されたエジプト人ビジネスマンがいました)。

コロンビアとの国境はガソリンや麻薬の密輸を行なう軍やギャングのテリトリーです。
ククタからの出入り口タチラ州は2014年以降、引き続き頻繁に反政府派の抗議運動が起きており、軍の出動、道路の閉鎖死傷者が出るような衝突がしばしば起きていて、政治的に不安定です。

近年は頻繁にコロンビアとベネズエラの国境が閉鎖されています。

一方、ジャングルの近くでは、食料不足の影響で、違法で危険な金の密採掘に参加する人が増えています。1年前のトゥメレモの虐殺事件では、20名弱のバラバラ死体が発見されました。採掘にはギャングだけでなく軍も関わっているという噂で、詳細は不明のままです。当時はこの影響で、国境付近の街からカラカスへ通じる一部道路が閉鎖されました。

またこれらの貧しい採掘者がジフテリアの感染源の一つになっており、薬不足と食料不足から貧しい子供たちが命を落としています。

またブラジルとの国境では、生活苦や薬不足から違法にブラジル入りする人が後を経たず、ブラジル側の医療対応が困難になるなどの影響が出ています。

このような中で、国境はいつまた閉鎖されるかわかりません。

高速道はギャングの管理下