<医療施設で優先されるのは当然ながら治療効率であり、どうしても"快適さ"や"楽しさ"の追求は後回しになってしまう。これだけ暮らしを豊かにするサービスが充実した現代においても、我々はそれを「仕方がないこと」と思い込んできた。とはいえ、近い未来には、誰にとっても病院が"楽しくポジティブな空間"になっているかもしれない。株式会社ティーアンドエスが提供する「GOKOCHI(ゴコチ)」は、そんな可能性を感じさせる革新的なプロジェクトだ。>
11月13日に新潟で開催された「福祉・介護・健康フェア」。ヘルスケア産業に関わる様々な企業が最新の製品やサービスを紹介し、毎年、全国から約1万5千人以上が足を運ぶ同イベントにおいて、今年はひときわ異彩を放つ出展ブースが注目を集めた。
展開されたのは、医療や福祉の世界では見慣れないプロジェクションマッピングやモーションセンサー、VRなど先端技術を使った3つの体験デモ。これらは現代のヘルスケア業界が抱えるメンタルケアの課題に着目し、医療コンサルタントの島村実希さんと株式会社ティーアンドエスの稲葉繁樹氏らの手によって誕生したソリューション「GOKOCHI」のプロトタイプだ。
いまこそ議論するべきヘルスケア業界の課題

「私はこれまでに多くの患者さんと触れ合ってきましたが、なかには入院中に心を病んでしまう患者さんもいます。治療効率のみが重視される日本の病院には、体を治す仕組みはあっても、心を元気にする仕組みがありません。医療の現場はそうした課題を感じながらも、解決する方法を見つけられないでいる。そこで行き着いたのがリビング・ラボという考え方であり、稲葉さんのような異分野の産業界の方々との連携だったんです」
そう話す島村さんは、京都大学の医学部で学んだ後、病院での実習で従来の医療施設の在り方に違和感を持ち、現場改革の道へと進んだ。卒業後は新規参入を目指す介護福祉施設などに向けたコンサルティングや、アメリカの医療現場や国連などでのインターンを経験し、現在は国内のヘルスケア領域で幅広く活躍する人物だ。