先端技術が生み出す新たな心のケアの形

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(左)VRで講師に指導を受けながらヨガニードラが体験できる「リラックス」。医療現場での休憩室や、企業の保健室などでも活用できそうなサービスだ。 (右)GOKOCHIを利用中の子どもたち。多くの人が先端技術に触れ満面の笑みを浮かべていた。

 一方の稲葉氏は、名だたる日系企業をクライアントに、デジタルコンテンツやアプリ開発、映像制作、広告プロモーションなどを手掛け、主にエンターテインメント分野の最前線で活躍する。「そもそも医療や介護という話は自分とは遠い世界のものだと思っていた」。そう話す稲葉氏がヘルスケア産業への越境ともいえるチャレンジを決めたのは、島村さんから現状の医療業界が抱える課題や、複数の企業や団体が共に参画してよりよい形を創り上げていくリビング・ラボという考え方を聞いたからだ。

「多くの企業や個人と協力してプロジェクトを進めていくリビング・ラボ的な手法は、我々が普段から実践していること。"ココロを元気にする"というテーマであれば、エンターテインメント業界での技術や知見も活かせるのではないかと。そこで様々な技術やコンテンツを持つ企業に声をかけて、今回のプロジェクトを始動させたんです」

 GOKOCHIは、島村さんが拾いあげる医療や介護の現場が抱く課題を、"最先端の技術で解決する"日本初の試み。その第一歩となる今回のサービスを開発面で主導したのはR&Dリーダーの松山周平氏だ。

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開発面を主導した松山周平氏。普段はファッションブランドのインスタレーションや、自動車メーカーのプロダクトデザインなどに関わる。

「たとえば、センサーの上で手や顔を動かしてスクリーンに絵を描く"クリエイト"というサービスは、リハビリ施設などで楽しく体を動かしてもらえるように開発したものです。技術的には、商業施設で活用される、触らずに動かせるフロアマッピングなどと同様の技術を使っています。さらに複雑な絵を描ける仕様にもできますが、島村さんのお話や我々のテスト体験のなかで、お年寄りは極端に失敗を嫌うという傾向を得ました。そこで今回は、誰でも失敗せずに個性的な富士山が描けるように、スペックの調整をしています」

 そう話す松山氏らが開発したサービスを、この日は車椅子で来場した98歳の高齢者も体験。そうして得られた、実際に医療や介護の現場でユーザーとなる人々からの多くのフィードバックが、GOKOCHIのサービスを進化させていく。