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「イヤーシート」と呼ばれるミーティングブース。1対1の会話や、電話をする時によく使われている。音を吸収する構造になっているため、声が響かず、集中して作業をすることも可能。
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(左上)会議室の予約など、ITシステムが充実。QRコードを読み取ると、その部屋の利用予約ができる。コーヒーメーカーの故障を見つけた際にも、このシステムを使ってメンテナンス部門に速やかに知らせることができる。最小限の労力でファシリティを管理する知恵だ。(左下)社員にはノートパソコン、スマートフォン、イヤピースの3点が支給される。エッセントの働き方を支えるプラットフォームだ。遠隔時にはSkypeなどを使ってコミュニケーションをとることが多いという。(右)バーカウンターを思わせる天板の高いデスク。立ったままミーティングをしたり、ノートパソコンを使って作業をすることもできる。

伝統的なマネジメント手法との決別

 つまり、独立自尊の起業家精神を持った従業員を育成するきっかけとしての自宅勤務。これをサポートするため、会社からは自宅用のデスクとチェア、プリンタを揃える手当が支給されている。これには、オフィススペースを節約して得た利益を従業員に還元する意図もあるようだ。「いい結果が出れば社員に報酬をはずめる。これで気持ちよく働いてもらえれば結果、また仕事の効率も上がります」と微笑むブロウメルス氏だ。とはいえ現状、マネジャーは過去の伝統的なマネジメント手法から脱するのに苦労していると明かす。

「これからは、マネジャーというよりはリーダー、道を示す役割といったほうがふさわしいかもしれません。通常、マネジャーはワーカーに対して『仕事は進んでいるか』『何をやったか』『いつ終わるのか』などと事細かにチェックします。いっぽうリーダーは、そういった仕事の中身よりも『体調は大丈夫か』『時間は足りているか』『フィードバックが出た、この人と共同でやったほうがいいかも』などと、仕事全体の大きな流れを注視する必要がある。いわば、木を見ず森を見る。細かいことをいちいちチェックするのではなく、全体のなかでパーツがしっかり機能しているかどうかを見るんです」

 戸惑っているのはマネジャーだけではない。従業員にも適応に苦しむところがあるようだ。週2日の自宅勤務と聞けば、誰もが小躍りして喜ぶだろう。エッセントでは平等にノートパソコン、スマートフォン、イヤピースが会社から支給され、どこにいてもシステムにログインして仕事ができ、ネットワークを通じて社外から会議に参加することもたやすい。それでもなお、とブロウメルス氏が釘を刺す。

「実は、自宅勤務には悪い点もあるんです。まず気づいた点は、仕事をしすぎてしまうことでした。自宅にいると『サボっているだけでは......』という罪悪感が芽生えるのでしょう。オランダ人はドイツ人や日本人に比べて自由な気質だと言われますが(笑)、それでも仕事のことは気にかかるんです。スマートフォンでメールを常時チェック、仕事をしていることを証明しようとあえて夜遅くにメールをしたり。よくあることですが、難しい問題ですね。おそらくはマネジャーによるケアが必要になるのでしょう。従業員がオフィスに出勤したときに、仕事上の指示伝達、情報交換に終わらず、仕事の進行具合はどうか、ヘルプが必要かなど密なケアをする。仕事と休息のバランスをとること、これはマネジャーにとっても従業員にとっても、今後の課題になりそうです」

創業:1999年

売上高:約44億ユーロ(2014)

従業員数:約2700人(2014)
https://www.essent.eu/

コンサルティング(ワークスタイル):自社

インテリア設計:!PET

建築設計:B V 3

WORKSIGHT 07(2015.4)より

text: Yusuke Higashi

photo: Takeshi Miyamoto

※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
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