<磨き抜いた鏡面に被写体を描出するダゲレオタイプが、不確実さを増す現代の社会を映し出す>

新井卓(たかし)は、磨き抜いて鏡面にした銀板に被写体を描出する、19世紀前半に考案された写真技法のダゲレオタイプを用いる数少ない写真家の1人だ。東日本大震災があった2011年から取り組んでいる「毎日のダゲレオタイプ」シリーズより厳選された作品展『日日(にちにち)の鏡』が、7月5日から東京・港区のギャラリー、PGIで開催される。

震災以降も新型コロナのパンデミックが起こるなど、社会は不確実さを増している。頻繁にリセットボタンが押されるような、よりどころのない日々の中で連綿と続く新井のパーソナルな記録。それは「記憶を持った鏡」(ダゲレオタイプの別名)の中で脈打ち、忘却にあらがっている。

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『2014年10月14日、食べかけのリンゴ、サンアントニオ』
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『2015年1月2日、正月の皿、川崎』
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『2022年2月5日、隔離ホテル、横浜』
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『2022年5月1日、ノリア、川崎』

©Takashi Arai, Courtesy of PGI

■新井卓 作品展 『日日(にちにち)の鏡』

2023年7月5日−8月23日/PGI:https://www.pgi.ac

■新刊本『百の太陽/ 百の鏡──写真と記憶の汀』

(岩波書店、2023年7月刊行)