<大統領選出馬から議会襲撃事件まで、トランプが引き起こした人々の強い感情と悲痛>

ドナルド・トランプ前米大統領の退陣から1年。バイデン現政権は早くも苦しい政権運営に直面している。加えて今年11月には上下両院で中間選挙が実施されるが、既に野党・共和党の下院勝利が確実視されており、2024年の次期大統領選における「トランプ復活」も現実味を帯び始めてきた。

そんなタイミングで出版されたデービッド・バトウの写真集『BRINK』は、他のどのメディアよりも広い視点と深い洞察力でトランプ時代のアメリカを追った作品だ。この時代の雰囲気を知りたい後世の人々や歴史家にとって有益な情報にあふれている。

作品は全3幕から構成されており、トランプが泡沫候補とされていた16年の党予備選から大統領就任とその波紋、そして政権最終年に起きた社会的混乱までを総括する「完全版トランプ劇場」だ。

政治学者のチェチリア・エマ・ソティロッタは、あとがきにこう寄せた。「この作品はとても強い感情と人々の悲痛を伝えながら、答えは教えてはくれないが問うべき質問を突き付けてくる」

第1章

2016年の大統領選予備選を前にした「普通の」アメリカ人たちの姿を追う第1幕では、トランプの信奉者たちが集まった激戦地域の中西部郊外の様子とラストベルト(赤さび地帯)に焦点を当てる

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ミシガン州にあるモーテルで昼寝から目覚めたトランプ支持者のカップル(2016年1月)
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大統領選で勝利する数日前にオハイオ州にある飛行場の格納庫で演説するトランプ
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ミシガン州南部の高速道路脇にある築100年以上の家に掲げられていたトランプ支持の看板

第2章

舞台を首都ワシントンに移す第2幕では、政府の混乱ぶりがあらわになる

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2016年の大統領選におけるロシアとトランプの関係について、トランプにFBI長官を解任されたジェームズ・コミーが上院情報特別委員会で証言を行った