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ずっと続くものと信じ込んでいた日常は、なたで切り落とされたように一変した。今、妹の暮らしを傍らで見ながら、同じ朝や夜は二度と訪れないのだと改めて知った。あの頃、病室の窓の外は遠い世界のように思えた
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けがや病気による脳の損傷で起こる高次脳機能障害は「見えにくい障害」とも呼ばれる。人によって損傷箇所は異なり、障害はさまざまだ。妹も当初は自身の障害に気付くことが難しく、病前にできていたことができなくなったのを理解するのに時間がかかった。その歯がゆさと焦りからか、一つのことに執着し、怒りだすと止まらなくなったり、ひどく泣いたり笑ったりといった「感情失禁」が時々起こる。そんなとき、私は彼女が落ち着くまでじっと待つことを覚え、妹は経験とリハビリから感情への向き合い方を工夫してきた
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「お父さんとお母さんは今うちにいるよ」と妹が言う。気配がするのだと
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退院して間もない頃、「以前の私は多くのことを自分で判断して、一人でできていたんだね。今の私には難しいよ」と妹は言った。その静かな口調を私は忘れられない。返す言葉がなかった
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妹の入院先へは毎日バスで大きな橋を渡って行った。薄明の時、車窓を見つめていると、私の意識はどんどん心の中に向かっていった。 向こう岸の病室から、妹も同じ河原を眺めていたかもしれない。その時、彼女は何を思っていたのだろう

Photographs by Noriko Honda

撮影:ほんだのりこ

東京生まれ。個人の暮らしの中で起きる疑問や感情を視覚的な物語としてつづり、社会へとつなげる作品を制作。さまざまな姉妹に撮影とインタビューを行い、家族の在り方を問う『あねいもうと』、安心できる場所をテーマとした『Security Blanket ~安心毛布』などの作品を発表し、高い評価を得ている