祖父が亡くなってからは、父が恐怖と圧力で家族を支配

それ以降、寝込むようになった祖父は、しばしばパニックに陥るようになったという。父が食事を運ぶと「伍長に連絡したのか、お前!」と叫び、母には「(お前は)パルチザンか」と尋ねる――こうした逸話からは、戦争トラウマの生々しさを見てとれる。

そして祖父が衰弱して亡くなったあと、枕元から、走り書きをした大量のメモが見つかる。


 ロシア語、中国語、日本語のものが入り交じっていた。ボールペンと見られる震える筆跡で「コロサレタクナイ スマン」「ニゲタイ」と書かれていた。(187ページより)

なお、尾添の父は、自身を身体的に虐待してきた祖父が亡くなってからは、恐怖と圧力で家族を支配するようになったそうだ。

ちょっとしたことで激昂するような日々が続くなか、尾添は食卓で言葉を発することができない「場面緘黙(かんもく)」を発症。高校生のときには幼児期から続く虐待による「発達性トラウマ」と診断され、うつやPTSDにもなった。

この時期についての詳細は尾添の自著『そんな親、捨てていいよ。――毒親サバイバーの脱出記録』に詳しいが、最終的には家を飛び出し、2020年には父母の戸籍から抜ける「分籍」をすることになる。

「父も大変だった...自分は永遠に責め続けるのか」
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