6月10日の爆撃後のキーウ市内の様子
大量のドローンとミサイルを併用した6月10日の爆撃ではキーウ市内の7つの地区が大きな被害を受け、4人が負傷したと報告されている YEVHENII ZAVHORODNIIーGLOBAL IMAGES UKRAINE/GETTY IMAGES

爆弾の音に遮られても、おしゃべりは続いた。戦時下の日々を生き抜く人々は、自分のことを語らずにいられない。語ることで、自分の苦しみと日々の勇気に意味が生まれ、無駄に生きてるんじゃないと思えるからだ。

最初はアドレナリンが出まくっていたせいで、私の頭はすごくクリアだった。でも何時間かすると疲れてきた。テレグラムとX(旧ツイッター)を何度もチェックしながら思った。私の運命はウクライナ軍の、もう十分すぎるほど疲れ切った防空部隊に委ねられているのだと。私は無力。でも心が折れずにいる自分を、少しは誇らしく思えた。

爆撃がさらに激しくなったので、建物の地階に移動することにした。でもエレベーターと階段、どちらを使うかで意見が分かれた。一番近いシェルターまでは徒歩10分。ドローンが飛び交うなかで歩いて行ける距離ではなかった。

地階に降りると犬を連れた子供たちが床に座り、爆発のたびに震えていた。誰も声を発しない。隅っこに9歳の坊やがいた。その子を見て、戦争が日常化することの恐ろしさを思い知らされた。まだ小さいのに、彼は私よりもずっと冷静にこの事態を受け止めているようだった。飛来するミサイルの音を聞き分けて、それでシェルターに行くべきかどうかを決めたという。

静かな日常に潜む傷痕
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