ビヨンセも『カウボーイ』の収録曲「YA YA」で、カントリー音楽、ひいてはアメリカ全体への黒人の貢献が無視されてきたことを鋭く告発した。

ビヨンセ「YA YA」
アルバム発売時のプレスリリースによると、カウボーイ・カーターは「アメリカ西部の黒人カウボーイに着想を得た」架空の人物だという。「カウボーイという言葉はもともと奴隷をボーイ扱いする蔑称だったが、ネガティブな意味合いを壊せば、西部に根差した不屈の精神の本当の定義──『逆境に耐え抜く力』があらわになる」

ツアーでは、カウボーイハットにデニムスーツ姿で、安酒場で葉巻をくゆらせるビヨンセの姿がステージの背景に映し出される。

ラマーのツアーでスクリーンに映し出されるのは落書きだらけの壁やローライダーの車など、彼が生まれ育ったギャングの街コンプトンをはじめとするロス近郊の風景だ。

ビヨンセもラマーも、音楽のナラティブの限界に果敢に挑み続けている。新作アルバムを聴き、ツアーのステージを見る限り、この2人の黄金時代はまだまだ続きそうだ。

彼らのアーティスト魂を傷めつけようとする人々に神のご加護を。この2人はどんなそしりを受けようとも、それをバネにさらに表現の可能性を広げ、素晴らしい楽曲を生み出してくれるのだから。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 AI軍拡の敗者と勝者
2026年8月25日号(8月18日発売)は「AI軍拡の敗者と勝者」特集。

ウクライナとイランの戦争が戦場の常識を変えた。時代遅れの大国アメリカをAIとドローンで凌駕する「あの国」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます