ウクライナ戦争の激戦地ルハンスク州クレミンナ
パサンとアビシェクは多国籍ストーム部隊の一員として有数の激戦地ルハンスク州クレミンナ(上写真)に送られた ELIZABETH SERVATYNSKAーAZOV MEDIAーGLOBAL IMAGES UKRAINE/GETTY IMAGES

しかしロシアに到着して数週間後、学生ビザの手続きを依頼したエージェントにだまされていたことを知った。そして数カ月後、モスクワの街中にあふれる広告を見て、ロシア軍との契約書に署名した。「ロシアと大統領についてどう考えているか、一般的な試験を受けて合格した」

パサンと友人のアビシェクは、ロシア軍に採用された最初のインド人となった。彼らはネパール出身の男性6人と共に、ウクライナ国境からわずか80キロのブリャンスク州クリンツィ市の軍事基地で訓練を受けた。ライフルの撃ち方、手榴弾の起爆、塹壕の掘り方を学んだ。

その後、ウクライナ東部ルハンスク(ルガンスク)州のクレミンナに送られた。クレミンナは激戦地の1つで、ロシアが占領下のドンバス地方南部に敷設した防衛線の要衝だ。「私たちは初の多国籍ストーム部隊として、敵と対峙する戦線に送られると告げられた」と、パサンは語る。

23年4月に報道と西側の情報機関は、ロシアが特殊攻撃部隊「ストームZ」の編成を始めたと伝えた。ストームZは主に受刑者で構成され、最も危険な地域に送り込まれる。

「刑務所上がりの兵士が大勢いた」と、パサンは言う。「その1人がスマホで部隊の動画を見せ、ある攻撃に参加した117人のうち生きて帰れたのは15人だけだったと教えてくれた。それを聞いて怖くなった」

クレミンナの状況は厳しかったと、パサンは振り返る。水も食料も不足しがちで、頭上を数十機のドローンがうなりを上げて飛び、焼け焦げた松林に砲撃音が響いた。

ネパール人たちは「選択を誤った」
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