調査の結果、不正は見つからなかった。それでも狼狽した当局者らは、エネルギー省の施設内でポケモンGOをプレイできないようにしてくれと、マゴーワンに依頼したという。

「『GPS座標で管理するので座標は必要だ』などと返事をし、あとはナイアンティックに任せた」とマゴーワンは振り返る。エネルギー省の広報もそのとおりだと認めた。

爆発的ブームは16年以降下火になっているものの、ゲーム自体の人気は根強く、22年のプレイヤー数は世界全体で推計6200万人に上った。

国家安全保障関連の懸念も薄れてきた。米当局の注意の対象が、中国発の動画投稿アプリTikTok(ティックトック)など他のデジタルプラットフォームによるスパイの脅威(と彼らが呼ぶもの)に向かったからだ。

今となってはポケモンGOをめぐる懸念は事実無根に思えるし、当時の狼狽ぶりも滑稽だが、ゲームをめぐる警鐘が監視資本主義時代における深い憂慮の証しであることに変わりはない──危険を知らせる「炭鉱のカナリア」ならぬ「炭鉱のチャリザード(リザードン)」だ。

リザードン ポケモン公式Xより

ポケモンGO騒動はある意味、歴史的でもあった。地理位置情報とカメラの使用と「大衆受けして防諜リスクのある」個人のユーザーデータに基づく「広く利用されている初めてのARゲーム」だったと、ある元CIA職員は語った。

ポケモンGOがアメリカの国家安全保障にこれまでにない難題を突き付けたとしたら、それはゲームデザイナーの責任ではない。善くも悪くも、今では私たちのスマホが私たちの現実だ。

その現実をこのゲームは世界の数億人にとって多少なりとも生き生きと魅力的にしたのだ。

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